神代植物公園で葉っぱ集め自由研究|形マップ

夏休みになると、毎年やってくるのが自由研究という宿題ですね。「何をテーマにしよう」「うちの子に合うものがあるかしら」と、お子さんよりも先に頭を悩ませている保護者の方も多いのではないでしょうか。工作やスライムづくりは人気ですが、まわりのお友だちと似たり寄ったりになってしまうこともあります。

そこで今回ご提案したいのが、神代植物公園を歩きながら「葉っぱの形」を集めていく自由研究です。植物を育てる必要も、特別な道具もいりません。歩いて、見て、写真に撮って、あとでスケッチしてまとめる。それだけで、一人ひとり違う、その子だけの研究ができあがります。深大寺さるくでは実際にこの公園をたびたび歩いていますので、現地でどんな葉に出会えるのか、どう進めるとよいのかを、できるだけ具体的にお伝えできればと思います。

神代植物公園の散歩道
  1. なぜ神代植物公園が葉っぱ集めにぴったりなのか
  2. 「採らずに集める」が研究の作法になる
  3. どんな葉の形に出会えるのか
  4. 葉っぱの形を「分類」してみよう
  5. 葉脈や葉のふちにも目を向けると
  6. 園内マップを使って「葉っぱマップ」を作る
  7. まとめ方のすすめ方
  8. 低学年・高学年それぞれの楽しみ方
  9. 訪れる前に知っておきたいこと
  10. なぜ神代植物公園が葉っぱ集めにぴったりなのか

葉っぱを集める自由研究そのものは、決してめずらしいものではありません。けれど多くの場合、家のまわりや近所の公園で見つけられる葉は、種類がかぎられてしまいます。同じような形の葉が何枚か集まって、それで終わってしまうことも少なくないかもしれません。

色々な葉の形

その点、神代植物公園はとても恵まれた場所です。東京都調布市にあるこの公園は、約4,800種類、10万本・株もの植物が植えられている、都内でも有数の植物公園とされています。しかも、ばら園・つつじ園・うめ園・はぎ園というように、植物の種類ごとにブロックが分かれているので、歩いているだけで次々と違う形の葉に出会えます。針のように細い葉、手のひらより大きな葉、ふちがギザギザの葉、つるんと丸い葉。一日歩けば、ふだんの暮らしでは一生かかっても見られないほどの種類の葉を、一か所で見比べられるのです。

アジサイの葉
イラクサの葉
楠の葉

家のまわりでは数種類しか集まらない葉が、ここでは数えきれないほど見つかる。この「種類の多さ」こそが、神代植物公園で葉っぱ集めをする一番の魅力だと思います。

  1. 「採らずに集める」が研究の作法になる

ここで、とても大切なお約束があります。神代植物公園をはじめ、多くの植物園では、葉や花を勝手に採ることが禁止されています。大切に育てられている植物ですから、これは当然のルールですね。

「では葉っぱを集められないのでは」と思われるかもしれませんが、ご心配はいりません。今回ご提案する研究は、葉を「持ち帰る」のではなく、写真に撮って集めるやり方だからです。気になる葉を見つけたら、カメラやスマートフォンでパチリと撮る。これだけで、葉を傷つけることなく、いくらでも「集める」ことができます。

そして、家に帰ってから、その写真を見ながら紙にスケッチしていきます。実は、この「写真に撮って、あとから自分の手で描く」という流れには、思いがけない学びがあります。ただ眺めるだけでは気づかなかった葉のふちのギザギザや、葉脈という葉の中を走るすじの通り方に、描いているうちに自然と目がいくようになるのです。採らないからこそ、よく見て、よく描く。これはとても良い研究の作法になると思います。

神代植物公園温室内で育つ植物の様子;品種  神代緑姫

カメラを向けるときに、葉のとなりに名前を書いたラベル(プレート)がある場合は、それも一緒に撮っておくのがおすすめです。あとで植物の名前を調べるときに、とても役に立ちます。

  1. どんな葉の形に出会えるのか

園内を歩いていると、本当にさまざまな葉に出会います。ここでは、お子さんが「おもしろい」と感じやすい、形のちがいに注目してみましょう。

たとえば、細長い葉。笹やイネのなかまの葉は、すうっと細く伸びています。いっぽうで、ホオノキやヤツデのように、子どもの顔がすっぽり隠れるほど大きな葉もあります。同じ「葉」と呼ばれるものでも、こんなに大きさがちがうのかと驚くかもしれません。

神代植物公園芝生広場
ヤツデ
神代植物公園音質のモンステラ

形そのものも多彩です。ハート形に見える葉、星のように先がいくつにも分かれた葉、まるい葉、細かく切れこんでいてレースのように見える葉。手のような形をした葉もあれば、一本の軸にそって小さな葉がたくさん並んでいるもの(複葉といって、葉が小さく分かれているタイプ)もあります。

くすの木

季節やそのときの公園の様子によって見られる植物は変わりますので、「これが必ず見られます」と言い切ることはできませんが、形のちがいを探すという目的なら、いつ訪れても十分すぎるほどの素材に出会えるはずです。歩きながら「この葉、なんだか面白い形だね」と声をかけあうだけでも、お子さんの観察の目が育っていきます。

  1. 葉っぱの形を「分類」してみよう

たくさんの葉の写真が集まったら、いよいよ研究の中心となる「分類」です。とはいえ、むずかしく考える必要はありません。集めた葉を、自分なりのルールで仲間分けしてみる。これが分類の第一歩です。

たとえば、「細長い葉のなかま」「まるい葉のなかま」「ギザギザのある葉のなかま」「切れこみのある葉のなかま」というように、形でグループを作ってみます。低学年のお子さんなら、ここまでで立派な研究になります。集めた葉を形ごとに並べて、台紙にスケッチを貼っていくだけで、見ごたえのあるまとめができあがります。

もう少し深めたいお子さんには、植物の「科(か)」という分類を調べてみることをおすすめします。科とは、植物を仲間分けするときのグループの名前で、たとえばバラ科、マメ科、キク科といったものがあります。葉の写真とラベルをもとに名前を調べ、図鑑やインターネットでその植物が何科なのかを確認していきます。すると、「形が似ている葉は、同じ科の仲間なのだろうか」「それとも、ちがう科なのに形が似ているのだろうか」という、わくわくする疑問が生まれてきます。

神代植物公園温室内で育つ植物の様子:レックスベゴニア:品種 うすもみじ

実際には、近い仲間どうしで葉の形が似ていることもあれば、まったくちがう仲間なのにそっくりな形をしていることもあります。そのどちらだったかを自分の集めた葉で確かめる。これは、まさに研究と呼べる立派な探究だと思います。

  1. 葉脈や葉のふちにも目を向けると

葉の形に慣れてきたら、もう一歩ふみこんで、葉脈(ようみゃく)に注目してみるのも面白いものです。葉脈とは、葉の中を走っているすじのことで、よく見ると葉によって通り方がちがいます。中央の太いすじから左右に枝分かれしていくタイプもあれば、何本ものすじが平行に走っているタイプもあります。

葉脈

写真を撮るときに、葉を裏側から、あるいは光に透かすようにして撮ると、葉脈がはっきり見えることがあります。スケッチのときにこの葉脈まで描きこむと、ぐっと本格的な観察記録になります。

葉のふち(縁)の形もポイントです。ノコギリの歯のようにギザギザしているもの、なめらかなもの、波打っているもの。同じように見える葉でも、ふちをよく見ると別の特徴が見つかることがあります。

イラクサの葉

「なぜ葉の形はこんなにちがうのだろう」という問いは、植物が育つ環境や、光をたくさん受けるための工夫と関わっているともいわれますが、ここまで踏みこむと中学生の研究にもつながっていきます。まずは「形が面白い」という素直な気持ちのまま、ちがいを見つけて集めることを楽しんでいただければと思います。

  1. 園内マップを使って「葉っぱマップ」を作る

この研究をぐっと魅力的にしてくれるのが、園内マップの存在です。神代植物公園には園内マップがあり、どのあたりにどんな植物のブロックがあるかがわかるようになっています。

そこで提案したいのが、見つけた葉を「どこで見つけたか」という場所の情報といっしょに記録していくことです。マップをコピーしたり、自分で簡単な地図を描いたりして、「ばら園のあたりでこんな葉を見つけた」「水生植物園の近くでこんな形の葉があった」というように、葉のスケッチと場所を線で結んでいきます。

すると、ただの葉の図鑑ではなく、「神代植物公園 葉っぱマップ」という、その子だけのオリジナル作品ができあがります。場所と結びつけることで、「日当たりのよい場所と木かげとで、葉の形にちがいはあったかな」といった新しい気づきが生まれることもあります。地図を使ったまとめは見た目にも華やかで、発表のときに目を引くという良さもあります。

  1. まとめ方のすすめ方

集めた葉と気づきを、最後にどうまとめるか。ここで研究全体の印象が大きく変わります。いきなり結果だけを並べるのではなく、順を追ってまとめると、ぐっと伝わりやすくなります。

まず最初に、研究のきっかけを書きます。「神代植物公園を歩いていたら、いろいろな形の葉があって不思議に思ったから」というような、素直な動機で十分です。次に、自分が何を調べようとしたのか、どんな予想を立てたのかを書きます。「似た形の葉は、同じ仲間なのではないかと思った」といった予想ですね。

そのうえで、調べた方法(写真に撮ってスケッチした、図鑑で科を調べた、など)、集めた葉のスケッチと分類、そして気づいたこと・わかったことを順番に並べていきます。最後に、やってみて思ったことや、次に調べてみたいことを書いて締めくくると、研究としてのまとまりが出ます。

まとめる紙は、画用紙や模造紙でも、ノート形式でもかまいません。葉のスケッチは、できるだけ大きさや色をそろえて配置すると見やすくなります。表紙には研究のタイトルと名前を書き、思わず中を見たくなるような一枚にできるとすてきですね。

  1. 低学年・高学年それぞれの楽しみ方

同じ「葉っぱ集め」でも、お子さんの学年によって深め方を変えられるのが、このテーマの良いところだと思います。

小学校低学年のお子さんなら、形で仲間分けをして、スケッチを貼ってまとめるところまでで十分に立派な研究になります。無理に科の分類まで踏みこまず、「まるい葉」「細い葉」といった見た目のちがいを楽しむことを大切にしてあげてください。

中学年から高学年のお子さんは、植物の科を調べたり、葉脈やふちの形を比べたり、場所による違いを考察したりと、ぐっと探究を深められます。「なぜちがうのか」という問いを立てて、自分なりの考えを書いてみると、研究としての評価も高まります。

どの学年でも共通して言えるのは、お子さん自身が「面白い」と感じた気持ちを大切にすることです。保護者の方は、まとめ方を手伝ったり、図鑑を一緒に開いたりしながら、結論や感想はお子さんの正直な言葉にしてあげるのがよいと思います。

  1. 訪れる前に知っておきたいこと

最後に、神代植物公園を訪れる前に知っておきたいことを、いくつかお伝えします。

開園時間や休園日は季節によって変わることがありますので、お出かけ前に公式の情報をご確認いただくと安心です。小学生以下は入園無料とされており、都内在住・在学の中学生も無料とされていますので、ご家族で気軽に訪れやすい場所だと思います。

夏の園内はとても暑くなりますので、帽子や水分の用意は欠かせません。木かげの多い場所を選んで休みながら、お子さんのペースで無理なく歩くようにしてください。カメラやスマートフォンは電池を十分に充電しておくと、たくさん撮りたくなったときに安心です。

そして、園では子ども向けの夏の観察会や自然教室といった企画も毎年行われているようです。そうした催しに参加してから自由研究に取り組むのも良いですし、参加できなくても、今回ご紹介したように自分のペースで葉っぱを集める研究なら、いつ訪れても取り組めます。

歩いて、見つけて、撮って、描く。植物を傷つけることなく、その子だけの発見が積み重なっていく葉っぱ集めの自由研究。この夏、神代植物公園でのひとときが、お子さんにとって忘れられない学びの時間になればうれしく思います。

あわせて読みたい

同じ神代植物公園を舞台にした自由研究として、湧き水を調べる【神代植物公園と深大寺で自由研究|湧き水しらべ】もご紹介しています。葉っぱ集めとあわせて、半日で二つの観察に取り組むこともできます。園全体をどのくらいの時間で回れるか知りたい方は、初めての方向けに回り方をまとめた【初めての神代植物公園|所要時間・回り方・季節別の楽しみ方】も参考にどうぞ。

■ 日焼け止め

夏の園内は思いのほか日ざしが強く、葉を探して歩き回るうちにじっくり時間がたってしまうものです。木かげの多い公園とはいえ、長く歩くお子さんの肌を守るために、日焼け止めはひとつ持っておくと安心でした。子どもの肌にも使いやすい、低刺激タイプを選んでおくと家族で使えて便利です。

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■ ルーペ(虫めがね)

葉のふちのギザギザや、葉脈の細かな枝分かれは、肉眼ではなかなか見えづらいものです。現地でルーペをのぞくと、写真には写りきらない発見が次々と出てきて、お子さんの「もっと見たい」という気持ちに火がつきます。首から下げられる軽いタイプなら、歩きながらの観察にも向いていました。

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■ 自由研究ノート(観察記録ノート)

撮った写真をもとに、家でスケッチや気づきを書きとめていくと、研究がぐっと形になります。日付・場所・気づいたことを記録する欄があらかじめ用意された観察ノートを使うと、何を書けばいいか迷わず、低学年のお子さんでも進めやすくなります。表紙に研究タイトルを書けば、それだけで立派な一冊になります。

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■ 植物図鑑

集めた葉が何という植物で、どの科の仲間なのかを調べるとき、手元に一冊の図鑑があると探究がはずみます。写真が大きく、葉の形や特徴から引けるタイプの図鑑は、お子さんが自分でページをめくって「これかな」と見つける楽しさを味わえます。園で撮った写真と見くらべながら調べる時間そのものが、よい学びになりました。

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■ スケッチブック

集めた葉の形を大きく、のびのびと描くなら、ページがしっかりしたスケッチブックが向いています。色えんぴつでの塗り重ねにも耐える厚めの紙を選ぶと、葉脈や色合いまで描きこめて、仕上がりの見ごたえが変わってきます。まとめを画用紙でなくスケッチブックにすると、一冊の作品集のようにまとまるのもうれしいところです。

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