【自由研究テーマ】神代植物公園のベンチを調べよう|「すわる場所」にかくされた工夫
1,はじめに|ベンチは「ただの椅子」じゃない 公園に行くと、あちこちにベンチが置いてありますね。みなさんは、すわるとき「...
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【目次】
夏休みの自由研究のテーマに、「葉っぱの観察」はいかがでしょうか。といっても、ただの緑の葉ではありません。銀色にかがやいたり、赤や紫がうずを巻いたり、まるで絵の具でぬったように色あざやかな葉を持つ植物があります。それが、レックスベゴニアです。

東京都調布市にある神代植物公園の大温室には、このレックスベゴニアがたくさん展示されているコーナーがあります。多くの植物は花を見て楽しみますが、レックスベゴニアは花ではなく葉そのものを楽しむ、めずらしい植物です。一枚一枚の葉に、ちがう色とがらが広がっていて、近づいてよく見るほどおどろきがあります。
この自由研究では、神代植物公園の大温室でレックスベゴニアの葉をじっくり観察し、色やがら、葉脈(ようみゃく、葉の中を走るすじのこと)、品種ごとのちがいを調べていきます。植物の葉が、こんなにも多様で美しいということを、自分の目で確かめてみましょう。

このテーマには、ほかの自由研究にはない大きな強みがあります。それは、一年じゅう、いつ行っても観察できることです。
アサガオの花や、チョウの羽化(うか)を観察する自由研究は、花がさく時期や、虫が育つタイミングを待たなければなりません。夏休みの後半になってから始めると、間に合わないこともあります。でも、レックスベゴニアは大温室の中で一年を通して展示されているので、行ったその日に観察を終えることができます。

大温室は屋根のある室内なので、雨の日でも、とても暑い日でも、天気を気にせず観察できます。エアコンのきいた快適な室内とまではいきませんが、強い日ざしの下を歩き回る必要がないのは、夏の自由研究にとって大きな利点です。「明日行けば、明日のうちにまとめられる」。これは、いそがしい夏休みにとてもありがたいテーマだといえます。
なお、開園時間や休園日は、おとずれる前に神代植物公園の公式サイトでたしかめておくと安心です。
レックスベゴニアは、ベゴニアという植物の仲間のひとつです。ベゴニアにはとてもたくさんの種類があり、花を楽しむもの、葉を楽しむものなど、すがたは実にさまざまです。
その中でレックスベゴニアは、葉のうつくしさを楽しむためにつくられてきたグループです。もともとはインドからタイのあたりの山に育つ「ベゴニア・レックス」という植物をもとに、いろいろなベゴニアとかけ合わせて生まれたとされています。「レックス」という名前は、このおおもとになった植物の名前から来ているのですね。

葉には、銀・緑・赤・紫・黒に近い濃い色などが複雑に重なり、まるで絵のようなもようを描きます。表面が金属のように光るものや、ビロード(やわらかい布)のような手ざわりに見えるもの、葉そのものがうずを巻くものまであります。ひとつとして同じもようがない、というのがレックスベゴニアのいちばんの魅力です。
まず注目したいのは、葉の色ともようです。レックスベゴニアの葉は、一色ではありません。緑の地に銀色の帯が入っていたり、中心から外に向かって色が変わっていったりします。

神代植物公園の大温室では、いくつもの品種を見くらべることができます。たとえば「デュードロップ」という品種は、深い緑の地に銀白色の斑(ふ、まだらもようのこと)が朝つゆの粒のように散っています。光の当たり方で、すずしげに見えたり、金属のようにきらめいて見えたりと、表情が変わります。

「うたかた」という品種は、淡い緑の地に、霧のような銀灰色のもようがふんわりと広がります。はっきりした色ではなく、近づくほどに微妙な色の変化が見えてくる、しずかな美しさが特徴です。

観察するときは、葉の色が「どこからどこへ」変わっているかに注目しましょう。中心が濃くてふちが明るいのか、その逆なのか。輪のようなもようがあるか、うずを巻いているか。そうした見方をすると、ただ「きれい」で終わらない、自分だけの発見が生まれます。

つぎに注目したいのが、葉脈です。葉脈とは、葉の中を走るすじのことで、水や養分を運ぶ「葉の血管」のような役わりをしています。
レックスベゴニアの葉は、この葉脈がとてもはっきりと見える品種が多いのが特徴です。葉脈にそって色が変わっていたり、葉脈の部分だけ濃い色になっていたりします。中心から放射状(ほうしゃじょう、中心から外へ広がる形)に伸びるすじを目で追っていくと、葉がどんなしくみでできているのかが見えてきます。
ここで、ぜひ気づいてほしいことがあります。ベゴニアの葉は、左右が同じ形ではありません。葉のつけ根を中心に見ると、片方が大きく、もう片方が小さい、少しゆがんだ形をしています。これを左右非対称(さゆうひたいしょう)といいます。多くの植物の葉が左右ほぼ同じ形なのに対して、ベゴニアの葉のこのかたよりは、観察するととてもおもしろいポイントです。
葉脈の走り方や、左右のかたよりを、スケッチや写真で記録してみましょう。小さなルーペ(虫めがね)があると、葉脈のこまかな枝分かれまで見えて、観察がぐっと楽しくなります。
レックスベゴニアの自由研究でいちばんおすすめなのが、いくつかの品種をくらべることです。同じレックスベゴニアでも、品種によって色・もよう・葉の形がまるでちがいます。そのちがいを表にまとめると、立派な研究になります。
神代植物公園の大温室で見られる品種には、たとえば次のようなものがあります。「シー・サーペント」は、黒っぽい緑の厚い葉が波打つようなダイナミックな形をしています。

「月影(つきかげ)」は、深い緑に淡い銀が重なる、しずかな色合いです。

そして「神代緑姫(じんだいみどりひめ)」は、神代植物公園にゆかりのある品種で、落ち着いた緑に繊細な銀の斑が上品に入ります。

観察するときは、品種ごとに「葉の色」「もようの形」「葉の大きさ」「葉脈の見え方」「手ざわり(見た目から想像)」などの項目を決めて、ひとつずつ記録していきましょう。項目をそろえて記録すると、品種同士のちがいがはっきりと浮かび上がります。「同じ仲間なのに、どうしてこんなにちがうのだろう」という疑問が、研究のいちばんおもしろいところです。
なお、品種の名前は、鉢のそばに立てられた名前のプレート(ラベル)で確かめられます。プレートと葉をいっしょに写真にとっておくと、あとでまとめるときにまちがえずにすみます。
高学年や中学生の人には、もう一歩ふみこんだ研究をおすすめします。それは、品種がどうやって生まれたのかを調べることです。
レックスベゴニアの品種の多くは、ちがう種類のベゴニアどうしをかけ合わせて(交配して)つくられたとされています。父親にあたる品種と、母親にあたる品種があり、その両方の特徴を受けついで新しい品種が生まれます。たとえば、銀色の葉を持つ品種と、赤い葉を持つ品種をかけ合わせると、どんな葉の子どもが生まれるのか。そうした「親をたどる」見方をすると、葉のもようの理由が見えてくることがあります。
ただし、それぞれの品種の交配の親が何だったのかは、見ただけではわかりません。鉢のプレートに書かれている情報や、ベゴニアの専門の本、植物園の資料などで調べる必要があります。調べてもはっきりしないこともありますが、「わからなかった」というのも、正直な研究の記録として立派な成果です。わかったことと、わからなかったことを分けて書くことが、よい研究のコツです。
この「親をさがす」研究は、植物がどのように人の手で育てられ、ふやされてきたのか、という大きなテーマにもつながっていきます。
調べたことをわすれないために、品種ごとに「観察カード」を作ってみましょう。ノートに、観察した品種の数だけページを分けて、次のことを書きます。
品種の名前(プレートで確かめたもの)。葉の色(地の色と、もようの色)。もようの形(帯、輪、うず、斑点など)。葉の大きさと形(丸い、細長い、波打つなど)。葉脈の見え方(はっきり/うっすら、色がついているか)。自分が見て感じたこと(きれい、ふしぎ、こわい感じ、しずかな感じなど)。
写真をとれる場合は、葉の全体と、もようの部分の寄り(アップ)の両方をとっておくと、あとでまとめるときに役立ちます。絵がすきな人は、その場でスケッチをしてもよいですね。色えんぴつで色を再現してみると、観察する目がさらにするどくなります。
まとめるときは、品種ごとのカードを一覧にして、ちがいが一目でわかる表を作るのがおすすめです。自由研究用のまとめノートを使うと、表やスケッチをきれいに整理でき、見ばえのする作品に仕上がります。
大温室の中での写真は、いくつかコツがあります。覚えておくと、ぐっときれいに記録できます。
ひとつ目は、光の向きです。葉の向こうから光が来る逆光(ぎゃっこう)になると、葉が黒くつぶれてしまいます。なるべく自分の側から葉に光が当たる向きを選ぶと、色やもようがはっきり写ります。
ふたつ目は、ガラスの反射です。温室はガラスやアクリルでかこまれているため、写真に光の反射が写りこむことがあります。少し角度を変えたり、近づいたりすると、反射をへらせます。
みっつ目は、寄り(アップ)の写真です。葉のもようや葉脈を記録するときは、できるだけ近づいてとりましょう。スマートフォンでも、ピントを葉に合わせれば、こまかなもようまでしっかり写ります。
なお、神代植物公園の大温室では、展示されている植物の葉や花を持ち帰ることはできません。この自由研究は、見て、写真にとって、記録することで完成します。植物にさわりすぎたり、葉を取ったりせず、目と写真で観察することを大切にしましょう。
レックスベゴニアやベゴニアの仲間について、もっとくわしく知りたくなったら、専門の本を読んでみるのがおすすめです。
『ベゴニア百科』(誠文堂新光社・日本ベゴニア協会編)は、たくさんのベゴニアの写真とともに、品種の特徴や育て方、ふやし方がまとめられた本です。葉を楽しむ品種だけでなく、もとになった原種(げんしゅ、改良される前のもとの植物)まで紹介されているので、交配の親をさがす研究の手がかりにもなります。図書館にあることもあるので、まずはさがしてみるとよいでしょう。
本で調べたことと、自分が温室で観察したことを照らし合わせると、研究はぐっと深くなります。「本にはこう書いてあったけれど、自分が見た葉はこうだった」という発見こそ、自分だけの研究の宝物です。
この自由研究は、神代植物公園の大温室という屋内施設で完結するため、真夏でも天候に左右されず取り組めるのが特長です。花の開花や生き物の成長を待つ必要がなく、来園したその日に観察を終えられるので、夏休みのスケジュールに合わせやすいテーマです。
神代植物公園へは、京王線調布駅や、JR中央線の三鷹駅・吉祥寺駅からバスでアクセスできます。開園時間・休園日・入園料・大温室の公開状況は、おでかけ前に公式サイトでご確認ください。大温室は湿度が高く、夏は室内でも汗ばむことがありますので、水分や汗ふきタオルをご用意いただくと安心です。
観察にあたっては、展示植物の採集・持ち出しが禁止されている点をお子さんに伝えてあげてください。葉にさわりすぎないこと、ほかの来園者の通行をさまたげないことなど、公共の場でのマナーを守りながら観察すると、研究そのものが「人や自然を大切にする学び」にもなります。お子さんが自分の目で見て感じたことを、そのまま研究としてまとめてあげてください。
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