神代植物公園の葉っぱ自由研究|撮って集める形あそび
夏休みの自由研究のテーマに、「葉っぱの形」を集めてみるのはいかがでしょうか。木によって、葉の形はおどろくほどさまざまです...
1,はじめに|ベンチは「ただの椅子」じゃない

公園に行くと、あちこちにベンチが置いてありますね。みなさんは、すわるとき「どのベンチにしようかな」と考えたことはありますか。
東京都調布市にある神代植物公園には、たくさんのベンチがあります。木かげの下にあるもの、お花がよく見えるところにあるもの、家族みんなですわれる大きなものなど、場所によって少しずつちがいます。
ふしぎなのは、それぞれのベンチが「なんとなく」置かれているわけではなさそう、ということです。よく見ると、「ここにすわると気もちがいいだろうな」と考えて置かれているように感じられます。
この自由研究では、神代植物公園のいくつかのベンチを調べて、「どうしてこの場所にベンチがあるのか」を考えてみます。ベンチは、公園に来るいろいろな人(小さな子ども、お年より、つかれた人)のことを思って置かれている、いわば「みんなのための場所」です。そのひみつをさぐっていきましょう。
神代植物公園はとても広いので、すべてのベンチを数えて回ろうとすると、たくさん歩くことになります。夏の暑い日に長い時間歩き回るのは、体にこたえてしまいます。
そこでこの研究では、園内のベンチを全部数えるのではなく、「とくべつ気になる数か所のベンチ」をえらんで、じっくり観察する方法をおすすめします。場所をしぼれば、暑い中を歩き回らずにすみますし、一つひとつのベンチをていねいに見られるので、気づくこともふえます。
調べるときは、次のようなことに注目してみましょう。そのベンチは日なたにあるか、日かげにあるか。近くに何があるか(お花、木、トイレ、売店など)。すわると何が見えるか。すいているか、こんでいるか。こうした目で見ると、ただの椅子だと思っていたベンチが、ぐっとおもしろく見えてきます。
なお、開園時間や休園日はおとずれる前に神代植物公園の公式サイトでたしかめておくと安心です。気温の高い日は、午前中の早い時間に調べると比かく的すごしやすいようです。

最初に紹介したいのが、藤棚(ふじだな)の下にあるベンチです。カリヨン広場という、鐘(かね)のある広場を背にして左手の方向に進むと、藤のつるがパーゴラ(つる植物をはわせる屋根のようなたな)にからまったエリアがあります。そこに、四人がすわれるベンチがならんでいます。
ここは、神代植物公園の中でもとくに人気の高い場所のようです。春のバラと秋のバラのシーズンには、いつも満席になっているほどです。
人気の理由は、いくつもあります。まず、このエリアはバラ園よりも少し小高いところにあるので、バラ園の全体を見わたせる「絶景スポット」になっています。すわったままで、たくさんのバラをながめられるのです。
そして夏には、藤の葉が大きくしげって緑のかげ(緑陰=りょくいん、葉がつくる日かげのこと)をつくり、すずしい風がふきぬけます。藤の花がさく季節には花を楽しめ、夏にはすずしくすごせる。お弁当をゆっくり食べるのにもぴったりの場所です。温室まで歩いて五分ほど、トイレのあるダリア園までも五分ほどと、べんりな場所にあるのもうれしいところです。
「日かげ」「いい眺め」「すずしい風」「べんりな場所」。人気があるのには、ちゃんと理由がありそうですね。
藤棚のベンチは人気なので、こんでいてすわれないこともあります。そんなときに使えるのが、藤棚の向かい側にあるベンチです。

ここは、ツルバラ(フェンスにはわせて仕立てるバラ)が一面に育てられているコーナーで、藤棚エリアよりもたくさんのベンチが置かれています。バラ園と同じ高さにあるので、こちらもバラ園全体を見わたせるビューポイント(眺めのいい場所)です。
さらにこの場所からは、バラ園の向こうに武蔵野(むさしの)の木々と青空が広がって見えます。とても開放的で、つかれた心と体を休めるのにぴったりの場所です。
ただし、観察すると気づくことがあります。このベンチは青空の下、つまり日なたに置かれているのです。そのため、春から夏にかけては日ざしが強く、長い時間すわって過ごすのは少しつらいかもしれません。
ここがこの研究のおもしろいところです。「眺めは最高なのに、夏は長くいられない」。同じバラ園を見るベンチでも、藤棚(日かげ)とツルバラのコーナー(日なた)では、すごしやすさがちがうのです。なぜちがうのか、考えてみるとよいでしょう。
家族みんなで来たときにおすすめなのが、芝生広場(しばふひろば)のベンチです。

ここには、テーブルと椅子が一体になったベンチがあります。机といすがくっついているので、お弁当を広げたり、みんなで向かい合っておしゃべりしたりするのに向いています。小さな子どもがいる家族にとっては、とても使いやすいつくりです。

藤棚やバラ園のベンチが「ながめを楽しむ」ためのベンチだとすると、芝生広場のベンチは「みんなで集まる」ためのベンチだといえそうです。同じ公園の中でも、ベンチの形や置き方が、使う人や使い方に合わせて変えてあるのがわかります。
観察するときは、「どんな人がこのベンチを使っているかな」と見てみましょう。家族づれが多いのか、お年よりが多いのか。それによって、このベンチが「だれのために」つくられているのかが見えてきます。
人ごみをさけて、静かにのんびりしたい人におすすめなのが、ダリア園のベンチです。
ここには大きなケヤキの木があり、その木のまわりに三つ、はんたい側のダリアが植えられている場所に一つ、ベンチがあります。
とくにケヤキ側のベンチは、わりあいすいていることが多いようです。夏には木かげになって、すずしい風がふきぬけます。そして冬には、葉を落としたケヤキのあいだから日ざしが届いて、あたたかい場所になります。

これはとてもおもしろい発見です。同じベンチが、夏はすずしく、冬はあたたかい。それは、ケヤキが夏に葉をしげらせて日ざしをさえぎり、冬に葉を落として日ざしを通すからです。木の性質を生かして、一年じゅうここちよくすごせるように考えられているのかもしれません。
ベンチは、人がつくったものですが、まわりの自然(この場合はケヤキ)とうまく組み合わさって、心地よい場所になっているのですね。
調べたことをわすれないために、ベンチごとに「観察カード」を作ってみましょう。ノートに、調べたベンチの数だけページを分けて、次のことを書きます。
ベンチの場所(藤棚の下、など)。日なたか日かげか。近くにあるもの(木、お花、トイレ、売店など)。すわると見えるもの。すいているか、こんでいるか。自分がすわってみて感じたこと(すずしい、あたたかい、気もちがいい、まぶしい、など)。
写真をとれる場合は、ベンチの様子をとっておくと、あとでまとめるときに役立ちます。絵がすきな人は、その場でスケッチをしてもよいですね。歩いて、見て、感じたことをそのままメモすることが、自分だけの研究につながります。
四つのベンチを調べてみると、それぞれにちがった特ちょうがあることがわかりました。ここで少し立ち止まって、「どうしてこの場所にベンチがあるのか」を考えてみましょう。
藤棚のベンチは、眺めがよくて、日かげですずしい。だから人気がある。ツルバラのコーナーは、眺めはよいけれど日なたなので、夏は長くいづらい。芝生広場は、家族で集まれるように机と椅子が一体になっている。ダリア園のケヤキの下は、静かで、夏すずしく冬あたたかい。
こうしてならべてみると、ベンチを置いた人は、「ここにすわる人は何をしたいだろう」「どんな人が来るだろう」と考えて場所を選んでいるように思えてきます。眺めを楽しみたい人、家族で過ごしたい人、静かに休みたい人。いろいろな人のことを思って、ベンチが置かれているのではないでしょうか。
このように、みんながつかいやすいように考えてつくることを、むずかしい言葉で「ユニバーサルデザイン」(年れいや体の様子にかかわらず、だれもが使いやすいようにする工夫)といいます。公園のベンチは、その身近な例なのかもしれません。
研究の最後に、ぜひやってみてほしいことがあります。それは、「もし自分がこの公園にベンチを置く係だったら、どこに、どんなベンチを置くか」を考えてみることです。
たとえば、「お年よりのために、トイレの近くで日かげの場所にベンチを置きたい」「小さな子どもがあそべる広場のそばに、家族ですわれるベンチがほしい」など、自分なりのアイデアを書いてみましょう。
園内を歩いていると、思いがけない人の少ない場所に、ポツンとベンチが置いてあることもあります。そういうベンチを見つけると、「なぜここに置いたのかな」「だれのためのベンチかな」と、想像がふくらみます。植物園の、来る人を思いやる気もちが感じられる場所です。
自分の好きなベンチを見つけておくことは、神代植物公園の四季を楽しむための、ちょっとした秘訣にもなります。あなたのお気に入りの一つを、ぜひさがしてみてください。
この自由研究は、真夏でも無理なく取り組めるよう、園内のベンチを数か所にしぼって観察する形にしています。広い園内をすべて歩き回る必要はありません。お子さんの体力や、その日の気温に合わせて、調べるベンチの数を減らしても十分に成り立ちます。
暑い日は、午前中の早い時間がおすすめです。帽子、水分、汗をふくタオルを用意し、こまめに日かげのベンチで休みながら回ると安心です。藤棚の下やケヤキの木かげなど、すずしいベンチを「休けいポイント」として活用すると、観察と休息を兼ねられます。
開園時間・休園日・園内の最新の様子は、おでかけ前に神代植物公園の公式サイトでご確認ください。ベンチの正確な台数は公式には一部しか示されていないため、この研究では「数えること」よりも「観察して考えること」を大切にしています。お子さんが自分の目で見て感じたことを、そのまま研究としてまとめてあげてください。