
AYAじい。きょうは、神代植物公園で出会った“日本の秋の花・菊”のお話なんだね。静かな秋晴れの空に、色とりどりの菊が映えてすばらしかっんだね。

そうなんだよ。菊の栽培技術は伝統の日本のお家芸なんだよ。ガーデニング先進国といってもいいんじゃないかな。
やさしく深く読み解く秋の時間
神代植物公園の11月の風物詩と言えば「菊花大会」。
秋晴れの空の下、ゲートをくぐるとまず目に飛び込んでくるのが、見事なまでの小菊を組み合わせた咲きそろった名物の「神代花車」です。色の縞模様が美しく、家族連れが次々と記念撮影をしていく光景は、この季節ならではの賑わいです。

展示場は屋根付きで、そこに入ると日本が大切に育ててきた伝統の菊づくりがずらりと並びます。
外へ目を向けると、秋の武蔵野の森が紅葉し、青空には秋特有のすじ雲がたなびき、菊と紅葉が一度に楽しめる“季節の贅沢”が広がっていました。

■ 菊が“日本の花”と呼ばれる理由
菊は古くから日本の文化と深く結びついてきた花です。
天皇家の紋章に使われ、長寿・邪気払いの象徴であり、重陽(9月9日)の節句にも登場します。素朴な見た目でありながら、どこか凛とした気配をまとっているのは、菊が持つ清らかさと品格のためでしょう。
神代植物公園の菊花大会は、そんな“日本の花”の魅力を一気に見渡せる場でもあります。花の形、色、仕立て方が多様で、園芸の世界でも特に高度な技術が要求される分野です。
■ 菊づくりの職人技──わずか1年半で“老大樹”を作り出す
菊の展示でまず目を奪われるのは、懸崖菊(けんがいぎく)です。
崖から滝のように花が流れ落ちる姿は迫力があり、棚にかけられた姿はまさに“動く彫刻”。枝の伸ばし方、花芽の管理、支柱の配置──その全てが計算され、自然の中の“崖の風景”を鉢の上に再現しています。


次に心を奪われるのが、小菊盆栽の直幹仕立て。
草花としての菊を、わずか一年半で老大樹のような姿に仕立てる技術は、日本の園芸の底力を感じる部分です。
幹をまっすぐ立て、枝を均等に配置し、花をバランスよく咲かせる──手間と根気の結晶です。


展示の中には、調布市長賞や東京都知事賞が付けられた作品もあり、花だけでなく、枝ぶり・幹の力強さ・全体の構図が評価されます。
【画像:懸崖菊】
■ 形の違いを知ると、菊はもっと面白い
菊は“花の形”がとても奥深い植物です。
神代植物公園で見られた展示の中でも、特に印象的だったのが次の種類です。
◆ 大菊(厚物・管物)
・厚みのある花弁が重なり合う「厚物」
・細い管のような花弁が放射状に伸びる「管物」
大輪ながらも気品があり、ひとつの花に存在感があります。




◆ 厚走り(あつばしり)
花弁が多く、外側へ向かって流れるように咲き広がる姿。
動きがありながら、均整の取れた美しさが特徴です。


◆ 盆養(ぼんよう)・小菊盆栽
小さな鉢に仕立て、枝振り・花の位置・葉の分量を計算して“盆栽の美”を表現。


◆ 福助作り・だるま作り
ずんぐりとした可愛らしい姿に大輪を咲かせる伝統仕立て。
展示では東京都知事賞の札が付いた作品が目を引きました。




下のだるま作りの菊は、東京都都知事賞の受賞作品です。



◆ ドーム菊(千輪仕立て)
文字通り、何百もの花が球状に整う壮観な作品。

◆ 古典菊(江戸菊・伊勢菊・肥後菊・嵯峨菊・丁子菊)
伝統ある仕立てで、花弁の動き・細さ・うねり方に独特の美しさがあります。
職人の個性が現れる世界でもあり、“菊の芸術”と呼ぶ人もいます。


●江戸菊
江戸文化のなかで育種発達した中輪種です。一度平たく咲いたあとに、花びらがねじれたり立ち上がったと色々な芸を見せる面白い菊です。まさに江戸文化の粋を集めた菊で。日本の園芸文化の水準の高さをはかり知ることのできる品種です。


●伊勢菊
花弁(花びら)が垂れ下がるのが、特徴で嵯峨菊からの変異種と考えられています。
植物が地方で変異定着していくのは面白いでですね。

●肥後菊
肥後藩で門外不出で栽培されていたという品種で正式の栽培方法も難しいとされています。現代でも苗は簡単にに入手できず保存会の審査があるとのことです。品種の特徴は、花弁と花弁の間に隙間があることです。

●嵯峨菊
京都嵯峨地方で育成された品種。平たく咲き出した花弁が徐々に立ち上がり茶筅状態になるのが特徴とといわれています。

●丁子菊
江戸時代には、人気のあった品種で、花の中央部が盛り上がって咲くのが特徴の品種でです。


■ 菊とともに歩く深大寺の秋──武蔵野の森の贅沢
展示を見終え、ふと外へ出ると、武蔵野の森の秋が迎えてくれます。
園内のケヤキやカエデは紅葉が進み、足元には落ち葉が静かに降り積もっていく。
私の“友だちのケヤキの木”も、今年も変わらずハラハラと葉を落とし、季節の移り変わりを語りかけていました。

菊の鮮やかな色彩と、森の紅葉が一緒に楽しめるのは、神代植物公園ならではの秋の贅沢。
植物の美しさと、日本の季節の深さを同時に感じられる特別な時間です。
■ 菊の世界を知ると、秋の景色がもっと美しくなる
初めて菊花大会を訪れる人でも、
“形”“仕立て”“花姿の違い”を知るだけで菊がぐっと面白くなります。
菊は派手さよりも、丁寧に育てられた植物の美しさが前面に出る花です。
職人が手を入れ、自然が応える──その時間の積み重ねが、花の一輪一輪に現れています。
深大寺さるくの秋に、ぜひ一度この菊花大会の魅力を加えてみてください。
きっと、あなたの散策がまた新しい色で満たされていくはずです。
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