
もうすぐ神代植物公園の春バラが見頃になるんだよね?

そうじゃ。春は一年でいちばん華やか。園内いっぱいに香りと色が広がるんじゃよ。今日はおすすめ品種を“深掘り”で紹介しよう。
神代植物公園の春バラの魅力
神代植物公園(東京都調布市)のバラ園は、例年5月中旬〜6月上旬にかけて最盛期を迎えます。花壇・アーチ・噴水と調和した洋風庭園スタイルの中で、400品種・5000株のバラが一斉に咲き誇る光景は圧巻。春バラは秋に比べて花数が多く、ボリューム感に溢れます。新緑とのコントラスト、香りの重なり、光の移ろいが作り出す“花の海”は、訪れる人を魅了してやみません。

春に出会えるおすすめ品種5選
ツクシイバラ
日本の野生バラツクシイバラは、白〜淡い桜色の一重花と黄金色の葯が清楚な印象。熊本県人吉市の球磨川沿いに群落があり、絶滅危惧種にも指定されています。神代植物公園で観賞できるのは貴重な機会。つる性で鋭いトゲを持ち、花後には赤いローズヒップも観賞可能です。華やかな洋種の中で素朴な姿を見せるツクシイバラは、自然と人とのつながりを感じさせる存在です。


ピース(Peace)
第二次世界大戦の終結に合わせて「平和」への願いを込めて名付けられたピース。大輪のハイブリッドティーローズで、淡いレモンイエローにピンクの覆輪が重なり、時間とともに色調が変化します。春の開花は特に花径が大きく、園内でも圧倒的な存在感を誇ります。香りは中香で清らかさを持ち、直立気味の樹形は整枝しやすく安定した美観を保ちます。

観賞ポイント:午前中の斜光で覆輪が光をまとい、写真では柔らかな透明感が強調されます。うどんこ病に注意しながら育てれば、ベランダでも十分に楽しめる丈夫な品種です。
芳純(Hojun)
日本を代表する香りの名花芳純。ローズピンクの大輪は花形が整い、咲き進むにつれてふっくらと開きます。最大の特徴はダマスク系の濃厚な香り。春の冷涼な朝は特に香りが強く、離れていても感じられるほど。切り花としても愛され、多くのファンに支持されています。

観賞ポイント:薄曇りの日に撮影すると花弁の質感が際立ち、香りを連想させる写真に仕上がります。黒星病に注意し、株元を風通しよく保つのが栽培のコツです。
ブルー・バユー(Blue Bajou)
青系バラの代表格ブルー・バユーは、藤色〜ラベンダー色の神秘的な花を咲かせます。咲き始めは青みが強く、開花が進むとスモーキーな淡紫に変化。中大輪で花弁は薄め、光の角度によって色合いが大きく変わるため「光を操る花」とも言えます。香りは控えめですが清涼感があり、静かな存在感を放ちます。

観賞ポイント:薄曇りや日陰の反射光で撮影すると藤色の階調が最も美しく再現されます。長雨で花弁が傷みやすいため、切り花として室内で楽しむのもおすすめです。
ピンクパンサー(Pink Panther)
ピンクパンサーはフランス・メイアン社が作出した鮮やかなローズピンクのモダンローズ。房咲きで花つきが非常によく、一株でも華やかさを演出できます。花弁は厚めで丸弁形、咲き進んでも崩れにくく、長く美しい姿を楽しめます。香りは弱〜中香で、軽やかで爽やかな印象。株はコンパクトにまとまりやすく、繰り返し咲きの力も優れています。

観賞ポイント:群植で配置すると、ピンクの花面が広がり、一角が一気に明るくなります。春の日差しを浴びた花弁は特に写真映えし、SNSでも人気の高い被写体になります。
まとめ
神代植物公園の春バラは、ピースの覆輪美、芳純の香り、ブルー・バユーの神秘的な色、ピンクパンサーの華やかさ、そしてツクシイバラの野生美――それぞれが異なる個性で楽しませてくれます。ぜひ春のひととき、香りと彩りに包まれながら、自分だけのお気に入りの一輪を見つけてください。