
ねぇAYAじい、神代植物公園の温室で変わった果樹を見つけたんだ。幹から直接、花や実がついてるんだよ!

それはジャボチカバじゃな。ブラジル原産の不思議な果樹で、“幹生花”と呼ばれる特異な姿で知られておる。めったに見られんから、偶然出会えたのは幸運じゃぞ」

幹から実がなるなんて、びっくり!もっと知りたいな
ジャボチカバとは?原産地と特徴
ジャボチカバ(学名:Myrciaria cauliflora)は、ブラジル南部を中心とする南米原産の熱帯果樹です。高さは数メートルに達し、常緑の葉を茂らせる姿は一見普通の樹木のように見えます。しかし最大の特徴は、幹や太い枝に直接、白い小花や黒紫色の果実をつけること。これを「カウルフロリー(幹生花)」と呼び、世界の果樹の中でも極めて珍しい生態です。

花は直径1センチほどで、白く小さな五弁花。果実は直径2~3センチの球形で、熟すと濃い紫色になり、まるでブドウのように見えます。そのため、英語では「Brazilian Grape Tree」とも呼ばれます。実際に果実の味もブドウに似て甘酸っぱく、生食だけでなくジュース、ジャム、ワイン、リキュールなどにも利用されます。

幹に咲く花と実る果実の不思議
通常の果樹では、花や実は枝先や葉の付け根につきます。しかしジャボチカバは、幹の表面にびっしりと花を咲かせ、やがて果実が直接張り付くように実ります。この姿は初めて見る人に強いインパクトを与え、「まるで樹木にブドウが貼り付いているようだ」と驚かれることもしばしば。



神代植物公園の温室にあるジャボチカバの樹はまだそれほど大きくありません。果実も偶然に2個だけ結実している程度で、開花や結実のタイミングに出会えるのは本当に幸運です。実際に訪れた際に幹に黒紫色の実を見つけたときには、まさに「一期一会」の感動が得られます。

ブラジルでの食文化と利用
ブラジルではジャボチカバは庭木として一般的に植えられ、旬の季節には子どもたちが幹に直接ついた果実を摘んで食べる風景が見られます。皮ごと口に含むと甘酸っぱくジューシーで、果汁にはポリフェノールが豊富に含まれるとされます。現地では果実を使ったジャムやゼリーが家庭で作られるほか、果実酒やワインの材料としても利用されます。甘い香りと濃い紫色の果汁は特に人気で、地元の市場でもよく見かける果物です。

また、ブラジルの一部地域ではジャボチカバに抗酸化作用や整腸作用があるとされ、民間薬としても親しまれてきました。こうした背景から、単なる果樹を超えた「生活に密着した植物」として文化的価値も高い存在です。
日本での栽培と展示の意義
日本ではジャボチカバは耐寒性が弱いため、露地での栽培は難しいとされます。しかし、南九州の一部地域では鉢植えで試験的な栽培が行われており、温暖な気候を活かした成果も報告されています。特に鹿児島県指宿市の農場では鉢植えの実験が行われたことがありますが、現在は一般公開されていません。そのため「南九州の温暖地では栽培例がある」と表現するに留めておきます。現在は静岡でも栽培農園があるようです。


こうした背景の中で、神代植物公園の温室でジャボチカバを観察できる意義は非常に大きいものです。東京近郊にいながら、南米原産の珍しい果樹を実際に目にできるのは、園芸ファンや一般の来園者にとって貴重な体験です。特に結実シーンを見られる機会は限られているため、「偶然出会える希少な瞬間」として記録や写真に残す価値があります。

家庭での栽培チャレンジ
ジャボチカバは観葉果樹として鉢植えでの栽培も可能です。ただし熱帯性のため冬の寒さに弱く、最低気温は5℃以上を保つ必要があります。日本では関東以北では温室や室内での管理が必須です。成長はやや遅いものの、環境が整えば鉢植えでも開花や結実が期待できます。結実に至るまでは8年程度の年月を要します。
栽培のポイント:
・光:日当たりを好みますが、夏は強光で葉焼けすることがあるため半日陰が最適。
・水やり:乾燥に弱く、表土が乾いたらたっぷり与える。空気中の湿度も重要で、加湿器や霧吹きで補うと効果的。
・用土:水はけと保水性を兼ね備えた配合土(赤玉土+腐葉土+バーミキュライトなど)が適する。
・肥料:生育期には有機質肥料や液肥を与えると実つきが良くなる。
・冬越し:室内で10℃以上を確保すれば安全。暖房の風直撃を避け、乾燥防止に注意する。
神代植物公園で観察する楽しみ方
神代植物公園の温室でジャボチカバを観察する際には、まず幹の表面をじっくりと眺めてみましょう。小さな白い花が貼り付くように咲いていたり、黒紫の果実がぽつりとついているかもしれません。その姿は、温室の中でもひときわユニークで、訪問者を立ち止まらせる存在感を放ちます。
花や実が見られなくても、葉や樹形から異国の雰囲気を感じられるのが魅力です。もし偶然結実している場面に出会えたなら、それは一期一会の贈り物。写真に収めると同時に、自宅での栽培チャレンジへのインスピレーションにもなります。

まとめ
ジャボチカバは、幹から花と実をつけるというユニークな生態を持つ熱帯果樹です。ブラジルでは生活に密着した果樹として親しまれ、日本では温室や限られた地域でしか見ることのできない稀少な存在です。神代植物公園温室での展示は、都会にいながら南米の文化や自然の一端に触れられる貴重な機会となっています。
今回の記事では、原産地での利用、日本での栽培事例、家庭での管理ポイントなどを含め、ジャボチカバの多面的な魅力を紹介しました。実際に訪れて偶然花や果実に出会えたときには、その感動をぜひシェアしてみてください。ブログやSNSに載せれば、多くの人に「こんな不思議な果樹が東京で見られるんだ」と驚きを与えられるでしょう。