
ねぇAYAじい、神代植物公園の温室で“奇想天外”っていう植物を見たんだよ。葉っぱがずーっと伸び続けてて、まるで生きた化石みたい!

それは奇想天外じゃな。ナミブ砂漠にしか生えない特別な植物で、自然の神秘を凝縮した存在なんじゃよ
奇想天外とは?原産地と名前の由来
奇想天外(学名:Welwitschia mirabilis)は、アフリカ南西部のナミブ砂漠だけに分布する裸子植物です。ナミビアとアンゴラにまたがる乾燥地帯に自生し、砂漠の極限環境を生き抜く姿から「世界で最も奇妙な植物」と呼ばれています。
19世紀にオーストリアの植物学者フリードリッヒ・ウェルウィッチによって発見され、学名に彼の名前が残りました。ラテン語の“mirabilis”は「驚くべき」を意味し、その姿を端的に表しています。
日本語の「奇想天外」という呼称は、そのあまりに特異な姿に由来します。通常の植物と異なり、幹からは二枚の葉しか出ず、それが枯れることなく一生伸び続けるのです。この奇抜な生存戦略は、植物学的に大きな関心を集め、園芸家や研究者の憧れの対象にもなっています。
一生伸び続ける二枚の葉
奇想天外の最大の特徴は、一生の間に二枚の葉しか持たないことです。その葉は枯れ落ちず、年々少しずつ伸び続けます。強い風や乾燥で裂けて何枚にも見えますが、実際には二枚の葉だけ。長いものでは数メートル以上にも達し、地表を覆い尽くすような姿になります。

葉は厚くて硬く、強烈な日射しや乾燥に耐えるための工夫が詰まっています。また夜露や霧を吸収して水分を取り入れる仕組みも備えているとされ、砂漠という過酷な環境下でも生存を可能にしているのです。研究者にとっては環境適応の仕組みを解き明かす貴重な手がかりになっています。
ナミブ砂漠での生態と寿命

ナミブ砂漠は世界最古の砂漠とされ、年間降水量は数十ミリしかありません。その極限環境で奇想天外は地下深くに根を伸ばし、地下水を吸い上げて生き延びています。乾いた空気から水分を得る仕組みを併せ持ち、生命維持の多様な戦略を展開しています。

寿命の長さも驚異的です。数百年単位で生きる個体は珍しくなく、中には2000年以上と推定される株も存在します。これは人類の歴史をも超える長寿であり、現地では「砂漠の守護者」とも呼ばれています。
さらに、奇想天外はナミビアの国章や紙幣にも描かれており、国の象徴として位置づけられています。観光資源としても重要で、現地を訪れる多くの人々が「砂漠の奇跡」としてこの植物を一目見ようとしています。
世界での展示と日本での希少性
奇想天外は世界各地の植物園でも注目を集めていますが、実際に展示されている場所は限られています。アメリカやヨーロッパの一部植物園で育てられているものの、日本国内でその姿を見られる機会はごくわずかです。

神代植物公園の温室は、その貴重な例のひとつです。砂漠植物エリアに展示されている株は、まだ若木であることが多いですが、それでも二枚の葉が大きく広がる姿は強烈な印象を残します。普段は図鑑や写真でしか見ることのできない植物を、東京近郊で直接観察できるのは大変貴重な体験といえるでしょう。
神代植物公園での展示の魅
温室での奇想天外は、乾燥地帯の環境を再現した展示の中で育てられています。訪れた人は、砂漠の自然を疑似体験しながら、この不思議な植物に出会うことができます。東京にいながらにして、遠いナミブ砂漠を思わせる空間に触れられるのは、植物園ならではの魅力です。

教育的な意義も大きく、子どもたちに自然の不思議や生命の多様性を伝える場としても重要です。奇想天外を実際に見ることで、写真や映像では得られない「自然の迫力」を体感できるのです。
家庭での栽培は可能?
奇想天外は世界中の植物愛好家を魅了していますが、家庭での栽培は非常に難しいといわれています。種子は国際的に流通しているものの、発芽率が低く、特殊な乾燥環境や温度管理が必要です。また成長はきわめて遅く、数十年単位での管理が不可欠です。
日本で挑戦する場合は温室や特別な設備が必須で、一般家庭での長期栽培はほぼ不可能といえるでしょう。それでも「世界一奇妙な植物を育ててみたい」と挑戦する愛好家は少なくありません。ネット上には試行錯誤の記録が多く残されており、その熱意が奇想天外の人気を物語っています。
アフリカで見たもう一つの不思議な植物
私はナミブ砂漠を訪れたことはありませんが、南アフリカのケープタウンにあるテーブルマウンテンで「キングプロテア」という花に出会いました。これは南アフリカの国花で、直径30センチを超える大輪が特徴です。その迫力ある姿は、奇想天外とは異なる驚きを与えてくれました。
ケープタウンの郊外、テーブルマウンテンの頂上にはケーブルカーが運航しています。頂上からは眼下にヶープタウンの街並みと目を転じると喜望峰が眺められます


頂上には、ピンクッションやら南アフリカの固有種の植物ががみられます。
中でもテーブルマウンテンの頂上の岩陰に咲くキングプロテアを見つけた時はほれぼれと見入ってしまいました。帰国後南アフリカの種苗会社から種を取り寄せ発芽した時も感動しました。今では街の花屋さんの店先でよくみかけます。

アフリカ大陸は植物進化の多様性が凝縮された場所であり、奇想天外もその一端です。テーブルマウンテンで見たキングプロテアの姿は、神代植物公園で奇想天外を見たときの衝撃と重なり、自然の持つ圧倒的な多様性を強く実感させてくれました。
まとめ|奇想天外に触れる感動
奇想天外は、ナミブ砂漠という極限環境で進化した“生きた化石”です。二枚の葉が永遠に伸び続ける姿は、他の植物にはない神秘性を備えています。ナミビアでは国の象徴とされ、日本では神代植物公園の温室でのみ出会える貴重な存在です。
実際に目にすると、その迫力と神秘に圧倒されます。図鑑や写真では伝わらない「生命の力強さ」「自然の驚異」を体感できるでしょう。もし神代植物公園を訪れる機会があれば、ぜひ温室の奇想天外を探してみてください。きっと忘れられない発見になります。

